ID: 10298
王子と王子
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カテゴリー: ドモンガット王

- 説明 :
クルシオの次男セルヒオは、もともと野心に満ちた男だった。突然の状況に全ての知恵を振り絞り父親の関心を買おうとしたが、王位は長男アントニオの手に渡ってしまった。だが、セルヒオはそれほど落ち込んではいなかった。譲り受けたアイントホバイン要塞は、幸いにも将来を見据えて力をつけるのに最適な場所だったのだ。彼はアイントホバインに赴任するやいなや、兵力を育成し始めた。チャンスは必ず訪れるはず。その一度のチャンスをものにし、本来この頭上に輝くべきだった王冠を取り戻すのだ。そして、セルヒオの考えでは、まさに今がそのチャンスのときだった。

ハイデルの事情はすでに内通者から聞いていた。過去の栄光から抜け出せずにいたクルシオに、王を無視して自らの影響力を再確認させるよう吹き込んだのもセルヒオだった。結局、計画通り兄であるアントニオ王は爆発し、父親はハイデルを追い出されアイントホバインにやってきた。しかしこれも計画通りに、父親がやってきてもセルヒオは城門を開けてやらなかった。セルヒオは城門に出向くと、「私が王位を受け継いでいたのなら、決して父上にそのような待遇をすることはなかったでしょう。しかし今、王冠は兄の頭上にあり、私は彼の意志に逆らうことはできません。父上が蒔いた種ですから、ご自身で刈り取ってください」。そう答えると、冷たく父に背を向けたのだった。クルシオは追い打ちをかけられた。彼を側で補佐していたピエロの話では、この一日でクルシオは10年ほど老け込んでしまったようだったという。クルシオは大地が割れんばかりに泣きわめくと、三男が住むというグリッシー村に馬首をめぐらせた。
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