ID: 10296
幼いライオン
icon 知識
カテゴリー: ドモンガット王

- 説明 :
それからわずかな時が流れた、ある夏の暑い夜のことだった。セレンディアの新国王アントニオは、暑さに疲れた父親のために盛大な宴を開いた。この日、王妃ロクサーヌは月光の下でひときわ金髪を輝かせる一人の男に目をつけていた。彼が自ら護衛を担当しているアイントホバイン要塞のドモンガット公爵夫人、つまり王の弟セルヒオ・ドモンガット夫人であるイリシア・セリックと密会を楽しんでいたのも見逃さなかった。ロクサーヌの侍女によると、男の名はジョルダインといい、場内にその名を知らない女性はいないそうだった。すでに一族とも関わりのある男だったが、ロクサーヌはそんなことを意に介する性格ではない。彼女はじっくりと機会をうかがった。しかし、少しずつ口に運んだ初物のポロドニョワインの酔いが回りはじめ、本格的に彼を誘惑する決心がついた頃、小さな事件が起こった。ある侍従が過って王の前で酒をこぼしてしまったのだ。怒ったアントニオは侍従の首を刎ねようとしたが、クルシオがそれを制止した。ロクサーヌは宴が血に染まらずに済んだことに安堵のため息をつき、続きは次の機会を狙おうと心に決めるのであった。
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