知識 カテゴリー: バアの記録 - 青年期 | |
- 説明 : だが、理解できなかった。デキアにオルの変節を知らせて罰を受けさせればいいのに、どうして僕に話したのだろうか。シガにその理由について聞くと、彼は片側の口角を上げるだけだった。彼が外から戻ってきたあとから見せるようになった、不気味な表情だった。 僕は月がバアマキアの心臓を通り過ぎたあとに、自分の区域から離れたことは一度もなかった。だが、あのときのシガの言葉を聞いた今は、そうしてはいられなかった。 目の前に現れたオルの区域は、至る所が黒い女神像でいっぱいになっていた。後ろを振り向くと、オルが涙をこぼしていた。信じられないことに、シガの話は全て事実だった。 なぜ泣いているのか問うと、彼女はやがてずっと秘めてきた心のうちを明かした。 「あなたのために耐えたのよ。」 アトラクシオン:ウルキオスとルクレシア |